三之助 主婦がつくったごはん処!木もれび

ナレーション「今日の舞台は大井町のごはん屋さん、『木もれび』。早速、お邪魔をしてみましょう」

三之助「こんにちは。どうも、はじめまして」

米原さん「はじめまして」

三之助「木もれびの女将さんでいらっしゃいますか?」

米原さん「はい、そうでございます」

三之助「何か、女将さんって今言いましたけど、なんとなくお母さんって呼びたくなるような」

米原さん「そうです、母です」

三之助「お母さんだったの?」

米原さん「そうです。ずっと、こちらを起業するまでは30年近く専業主婦で」

三之助「お母さんがこのお店で、いわゆるおふくろの味をたくさん用意してやってらっしゃるって感じですか?」

米原さん「申し訳ありません。一種類しかメニューはなくって」

三之助「メニューとしては一種類なんですね」

米原さん「そうなんです。お家で召し上がっていただくご飯という感じで、みなさんに召し上がっていただいています」

三之助「楽しみですね。よろしくお願いいたします」

米原さん「よろしくお願いいたします」

ナレーション「細々とした光でも長く続けたい、そんな思いから名付けられた『木もれび』は開店して、早や16年。その名の通り、まちのみなさんに、なが~く愛され続けています」

三之助「そもそも、料理屋さんを始めようと思ったのは、どういうことなんですか?」

米原さん「私自身もどこかに出かけた時に、女性が一人で気軽にご飯を食べる場所が、なかなかなかったので、自分が『こういう場所があったらいいな』という思いでつくりました」

三之助「こういうお店欲しいなっていうのを自分でやっちゃおうか、ということですか」

米原さん「そうです」

三之助「このお店を始めるにあたって、ご家族はどうだったのかって気になるんです。応援してくれました?」

米原さん「いえいえ。相談すると『とんでもない』と言われるので、全く何も相談しないで、事後報告でした」

三之助「では、それを先回りしてどんどん進めちゃったわけですか」

米原さん「そうです、はい。みなさんも出来るので、子育てが終わったお母さんたちにはぜひやっていただきたいというのが願いです」

三之助「仲間に入ってきてもらいたい」

米原さん「そうです。子育てが終わったときに、自分の人生もちょっと組み入れて生活してみたらどうかなと思います」

三之助「このお店で人生が変わったということになりますか?」

米原さん「変わりました」

ナレーション「開店以来、毎朝8時に仕込みを始め、夜遅くまで、休む間もなく働かれている米原さん。毎日変わる『木もれび』の献立は、野菜が中心。子育てをしながら学んだという、美味しく・安く・簡単にできるお料理は、ボリュームも満点です。そんな主婦の知恵から生まれた米原さんのお料理は、一冊の本にもまとめられています」

三之助「それではお待ちかね、本日の定食を頂だいしたいと思いますが、このお料理は毎日変わるんですよね?」

米原さん「毎日この中のものが全部変わります」

三之助「では今日の定食の献立を教えていただけますか?」

米原さん「はい。今日はお豆腐のハンバーグになります。この中には、大豆でつくった大豆ミートがたっぷり入っております」

米原さん「芋ガラ。お芋の茎を乾燥したものを戻して、コンニャクと油揚げで、ごま油で炒め煮をしました。こちらは、切り干し大根のゴマ和えです。あとニンジンと生姜が入っています。カボチャはお砂糖とお塩だけで」

三之助「お醤油を使わずにね」

三之助「このお味噌汁も具だくさんですね」

米原さん「今日は小松菜とニンジンと大根が入っています」

三之助「メイン料理はこの豆腐の」

米原さん「はい。ひじきもたっぷり入っていまして、長ねぎとニンジンも入っています」

三之助「本当だ。中もたっぷり野菜が入っていますね」

三之助「(実食)なるほど、お味がしっかりしているのに、それでいて優しいというんですかね。芋ガラっていうのは珍しいですよね」

米原さん「そうですね。なかなか売っていないと思います」

三之助「シャキシャキして。煮物とかそういうのは、お母さんの料理って感じがしますよね」

米原さん「そうですね」

三之助「これは楽しみで通っている人の気持ちがよく分かりますね。美味しい」

米原さん「よかったです」

ナレーション「バランスの良い料理を求めて、多くの常連さんが集う『木もれび』。この16年間に、さまざまな出会いも生まれたそうです」

米原さん「いらっしゃいます。カップルになった方も何人かいます」

三之助「ここで? 米原さんが仲人みたいなのじゃないですか。料理を介して」

米原さん「そうです。あと、若い女性が結婚したいんだけどって言ったら、じゃあこういう方と会ってみたらと言って、実際に会わせて、うまくいったり」

三之助「そういうセッティングもしてくれるんですか?」

米原さん「それは私は大好きで」

三之助「いいね、それ」

米原さん「ぜひ」

三之助「他にありますか? そういうことって」

米原さん「あとお一人の方は、70歳ちょっと前の方なんです けど、奥様と一緒にいらしていて、奥様がお亡くなりになって、その奥様の遺言で『自分が亡くなったあとは毎日ここに来てください』と。さっき、昼間もいらしてたんですけど。毎日いらしてます」

三之助「安心して亭主を任せちゃうというか。『後頼んだわよ』じゃないけど。それも面白い話ですね。じゃあ、本当に家族みたいな」

米原さん「ええ、家族みたいな感じです」

三之助「ご常連の方がいらっしゃるようなので、ちょっとずうずうしく話を聞いてみます。どうも、お邪魔します」

石田さん「こんにちは」

三之助「木もれびにはよくいらっしゃる?」

石田さん「そうですね、ちょくちょく来ています」

三之助「どういうお店んなんでしょうね? みなさんに紹介するとすれば」

石田さん「米原さんの人柄というか、本当にお母さんみたいな感じなので、その辺もいいなと思って通っています」

ナレーション「米原さんのお仲間にもお集まりいただきました。鍼灸院を営む、小林けさみさんと、コンサルタントの会社を経営する、柳田真知子さん。皆さんは、同じ女性起業家として、協力し、励まし合ってきた仲だそうです」

米原さん「小林さんはこのお店をオープンする前なんですけれど、16~17年前に、その頃では珍しい品川区主催の『女性の起業家セミナー』というのが第1回目だったんですね。それに私も参加しまして、そこでお友だちに」

小林さん「最初の頃は休みなしでやってたよね。3カ月だか休みなくやっていて、それでも来るお客さんの一人ひとりにちゃんと対応してやっているので、本当にたくましいですよね」

三之助「ではその姿を見て、自分たちも頑張ろうというような」

小林さん「そうですよ。『今月の家賃払えたわ』みたいな感じの。米原さんもやっているから私もやらなきゃ、みたいな感じです」

三之助「柳田さんは元お客さん?」

柳田さん「そうですね。もう十数年。だいぶ長くなりましたけど。海外が多かったものですから、その調整ということでこちらのお食事がすごくホッとする。外食じゃないというか。つくるのも大変なので。ここがあったので、ここでくつろいでいました。30数年働いていて、もういいかなと思っていたんですけど、まだまだ人生長いなと思って、何かやろうというところで、女性起業家の仲間の集まりが品川区であると伺ったので、お誘いいただいて。米原さんに誘っていただいたんです」

米原さん「無理にお誘いしたんです」

三之助「この木もれびという場所は、ただお腹がいっぱいになるというだけじゃなくて、いろんな方が気持ちを通わせ合うという場所にもなっていると思うんですが、16年やってらっしゃいましたけど、この先どういうお店にしたいとお考えですか?」

米原さん「起業した当時から2号店を出そうとか、お店を大きくしようとか、そういうことは全く考えていませんでした。起業するのは、今から思うと簡単です。それを長く続ける、ということの大変さを身にしみて感じております。あと少しは社会貢献をさせていただきたいなと思っています」

三之助「このまま一生お母さんであり続けたり、起業家としてあり続けたりするということが大切だなと思いました。さて、次回のとっておきの品川、どうぞお楽しみに」

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